生成AIを会社で契約するとき、多くの会社では稟議を通す必要があります。決裁する側が知りたいのは、何に使うのか、いくらかかるのか、情報が漏れないか、効果をどう確かめるか、の4点です。
この記事では生成AIの導入を申請する稟議書のひな形と、記入例を用意しました。項目は決裁者から質問されやすい点を先回りして書けるように並べています。
ひな形は当サイトのオリジナルで、自由に使ってかまいません。自社の稟議書の書式に合わせて、項目を入れ替えて使ってください。
目次
稟議書のひな形
以下をコピーし、【】の部分を書き換えて使ってください。
件名 生成AIサービス【サービス名】の導入について
1. 目的
【対象の業務】にかかる時間を減らすため、生成AIサービス【サービス名】を導入したい。
2. 対象の業務と利用者
対象の業務:【例:会議の議事録作成、提案書の下書き】
利用者:【部署名】の【人数】名
3. 導入するサービスとプラン
サービス:【サービス名】
プラン:【プラン名】(法人向けプラン)
契約期間:【年契約/月契約】
4. 費用
1人あたり【金額】×【人数】名×【月数】か月=【合計金額】(【税込/税別】)
初期費用:【有無と金額】
5. 期待する効果と測り方
現状:【対象の業務】に1人あたり週【時間】かかっている。
目標:【期間】で【時間または割合】減らす。
測り方:導入前と【期間】後に、対象の業務にかけた時間を【アンケート/作業記録】で比べる。
6. 情報の取り扱い
入力した内容がAIの学習に使われるか:【契約するプランでの扱いと、確認した資料】
入力してよい情報:社内の生成AI利用ルールに従う(公開情報と社内情報のみ。個人情報と取引先の秘密情報は入力しない)
7. リスクと対策
誤った内容が出力される:社外に出す資料は、数字と固有名詞を人が確認してから使う。
決まりを守らない入力:利用開始前に説明会を開き、入力してよい情報の例を配る。
8. 試行期間と評価
【期間】の試行のあと、5の測り方で効果を確かめ、継続するかを【日付】までに判断する。
9. 担当
導入の担当:【部署・氏名】
記入例
架空の会社で、営業部10名が議事録と提案書の下書きにAIを使う場合の例です。料金は公式の表示です。
件名 生成AIサービス「ChatGPT Business」の導入について
1. 目的
営業部の議事録作成と提案書の下書きにかかる時間を減らすため、ChatGPT Businessを導入したい。
2. 対象の業務と利用者
対象の業務:会議の議事録作成、提案書の下書き
利用者:営業部の10名
3. 導入するサービスとプラン
サービス:ChatGPT Business
プラン:Standard
契約期間:月契約(試行期間のあと年契約を検討)
4. 費用
1人あたり月$25×10名×3か月=$750(税別。円での請求額は契約時に確認)
初期費用:なし
5. 期待する効果と測り方
現状:議事録と提案書の下書きに、1人あたり週4時間かかっている。
目標:3か月で週1時間減らす。
測り方:導入前と3か月後に、対象の業務にかけた時間をアンケートで比べる。
6. 情報の取り扱い
入力した内容がAIの学習に使われるか:OpenAIは、ChatGPT Businessのワークスペースのデータを学習に使わないとしている(OpenAIのヘルプで確認)。
入力してよい情報:社内の生成AI利用ルールに従う。
7. リスクと対策
誤った内容が出力される:提案書は、数字と固有名詞を担当者が確認してから提出する。
決まりを守らない入力:利用開始前に説明会を開き、入力してよい情報の例を配る。
8. 試行期間と評価
3か月の試行のあと、5の測り方で効果を確かめ、継続するかを判断する。
9. 担当
導入の担当:営業企画課
記入例の「週4時間」「週1時間」は説明のための仮の数字です。実際には、導入前に自社で測った時間を書いてください。
項目ごとの書き方
4. 費用
ドル建てのサービスは、円での請求額が為替で変わります。稟議書には、表示価格がドル建てであることと、円での金額を契約時に確かめることを書いておくと、あとで差額が問題になりにくくなります。
主なサービスの料金は法人向け生成AIの料金比較にまとめています。すでにGoogle WorkspaceやMicrosoft 365を使っている会社は、今の契約にAIを付ける方法も比べておくと、決裁者からの「なぜこのサービスなのか」という質問に答えやすくなります。
5. 期待する効果と測り方
効果は「効率化できる」とだけ書かず、何の時間をどう測るかまで書きます。測り方が決まっていないと、試行が終わっても継続するかを判断できません。
6. 情報の取り扱い
決裁者が最も気にする項目です。個人情報保護委員会は2023年6月の注意喚起で、事業者が個人データを含む内容を入力する場合は、提供事業者がそのデータを機械学習に使わないことなどを十分に確認するよう求めています。契約するプランで学習に使われるかどうかを、公式の資料で確かめて書きます。
主なサービスの扱いはChatGPT・Gemini・Claude・Copilotの「学習に使わせない」設定に、社内ルールのひな形は社内の生成AI利用ルールのひな形にまとめています。稟議と社内ルールを同時に出すと、6の項目に具体的に答えられます。
8. 試行期間と評価
最初から年契約にせず、月契約で数か月試してから判断する形にすると、決裁を受けやすくなります。ただし年払いのほうが安いサービスが多いため、継続を決めたら年契約に切り替えるかも検討してください。
出典
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日)内閣府掲載資料PDF
- 料金と学習利用の扱いは、本文でリンクした当サイトの記事(2026年10月28日・29日に各社の公式ページで確認)によります。
稟議書のひな形と記入例は当サイトのオリジナルで、記入例の会社と業務時間は架空です。
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